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「マインドブレイカー?」
俺の発した疑問に彼女は呆れ果て、ぶつぶつと独り言を漏らした。
その姿を傍観していると、彼女は勝手に一人で納得し、ビシッと此方に人差し指を向けて命令口調で言い放った。
「私は決めたぞ! きみを私の仲間にしてやろう! そして私と一緒に世界を救うのだ!!」
彼女は片腕を腰に当て、何者をも取り込んでしまうような強烈な微笑を向けていた。
その笑みに視線を合わせた途端、ドクン。と心臓が高鳴る音が鮮明に聞こえた。
初めての感覚に動揺し、何も言い返そうとしない沈思黙考の態度の俺に、雨宮真理奈は、グンッ。と体を近づける。
「疑問は色々とあるだろうが、理由は後で話そう。まずは、この本を受けとってくれ! 私の見込み通りなら……」
彼女は、何処からか取り出した分厚い本を強引に押し付けてきた。
晴天の霹靂とはまさにこのこと。なんとその本は――先ほど夢に出てきた本とまったくもって同じものであったのだ。
――さっきの言葉といい、この本といい、正夢…?
流石に頭の整理が追いつかず、雨宮真理奈に説明を求めようとした刹那――本の表面から強い光が溢れ出した。
俺は驚きのあまり後ずさり、手に掴んでいた奇妙な本を手放してしまう。
地面に落下した本は数秒の間光を放出し続ける。しかし、途端に光は弱まり、そして消え去った。
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