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プロローグ
シャッター街の小路を青年が駆ける――。
曇天の空は重苦しく、晩秋の風は冷たい。
日は既に落ち、寂れた商店街は頼りなき街灯がポツポツと照らすばかりで、買い物客の姿もない。
青年の逃げ込んだ小路に至っては微かな月灯りが唯一の光源である。
だが、普段は人気を感じさせぬこの場所に、今は幾つもの足音が響いていた。
青年は何度も背後を振り返る。
彼を追う者たちの姿があった。
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