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章は震える久美子の体をそっと抱き寄せ、久美子の耳元でささやいた。
「久美子、息を整えろ。
息苦しさが収まったならば、もう一度、息を止めて職員室を出るぞ。
おそらくヤツは、目が悪い。
さっきオレたちのとなりを通り過ぎていっても、ヤツは少しも気づかなかったんだ。
ヤツはオレたちの呼吸で、オレたちの居場所を探っているんだ。
だからオレたちは、上手くやれば逃げきれる」
章は自分の言ったことに確信はなかったが、自分たちがこれからやることをハッキリさせることで久美子を安心させたかった。
自分たちはもう一度、息を止めて職員室をそっと出ていく。
おかっぱ少女に決して気づかれないように……。
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