本校舎の夜(2)(章と久美子)

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「私の御守りを……、返して……」 おかっぱ少女が、まるで地を這うような低い声でそう言った。 「あなたたちは……、私の御守りを……、奪いに、きたのね……」 「久美子、ヤツの様子がおかしい。 早く、呼吸を整えろ! 逃げるぞ!」 章がそう言ったとき、おかっぱ少女が、不気味な笑みを浮かべて、うれしそうにポツリと言った。 「見つけたわ……。 私の御守りを……、盗んだ人たち……」 「久美子、逃げるぞ! 息を止めて走るんだ。 捕まったら、殺されるぞ!」 章はそう言って、久美子の手を引きながら立ち上がった。
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