15人が本棚に入れています
本棚に追加
「私の御守りを……、返して……」
おかっぱ少女が、まるで地を這うような低い声でそう言った。
「あなたたちは……、私の御守りを……、奪いに、きたのね……」
「久美子、ヤツの様子がおかしい。
早く、呼吸を整えろ!
逃げるぞ!」
章がそう言ったとき、おかっぱ少女が、不気味な笑みを浮かべて、うれしそうにポツリと言った。
「見つけたわ……。
私の御守りを……、盗んだ人たち……」
「久美子、逃げるぞ!
息を止めて走るんだ。
捕まったら、殺されるぞ!」
章はそう言って、久美子の手を引きながら立ち上がった。
最初のコメントを投稿しよう!