本校舎の夜(2)(章と久美子)

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章がそう言うと、久美子はためらいながらも、章に背を向けて、走り出した。 章は久美子の背中が見えなくなったことに、ほっと胸を撫で下ろし、次に自分が助かる方法を探った。 〈 ヤツは臭いで獲物を見つける動物みたいに、人間の呼吸で、人間の居場所を知るんだ。 でもその代わり、あまり視力はなさそうだ。 だからオレは、ヤツに見つかる前に、素早く隠れて、息を止めれば…… 〉
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