別校舎の夜(2)(健太と留衣)

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健太は後先考えず、全力でドアに突進した。 そして全体重を乗せて、ドアに体をぶつけたとき、バキバキバキと木が割れる音とともにドアが壊れ、廊下側へ倒れた。 健太は右肩に受けた強い衝撃に顔をしかめ、激痛に耐えながら叫んだ。 「逃げるぞ、留衣! こいつらに関わるな! さあ、早く!」 健太はそう言って、壊れたドアに手をつき、立ち上がった。 「こいつらは、力は強いけど、動きは鈍い。 走れば逃げきれる。 走るぞ!」 健太はそう言って、留衣の手を握ると、壊れたドアから、音楽室を抜け出した。 三体の高校生のバケモノは、ゆらゆらと揺れるように歩きながら、健太と留衣を追ってきていた。 「二階に逃げるぞ!」 健太がそう言って、二人は別校舎の階段を駆け上がった。
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