瀬川清人の過ち

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僕は、スマホの画面を見つめ、カズヤになりきって、たくさんのコメントを書く。 そのとき僕は、自分が嫌いな瀬川清人から抜け出し、理想の自分になれるのだった。 僕が冷静になって、客観的に自分を見つめると、僕は嫌悪感に包まれて、気持ちが暗く沈み、逃げ出したくなる。 デブ眼鏡の瀬川清人は、陰気で、友だちがいなくて、何の取り柄もない男だ。 僕はそんなことを考えると、自分が嫌になって、スマホの画面を見つめる。 だってそこには、瀬川清人ではないもう一人の自分が存在していたから……。
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