瀬川清人の過ち

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普通の家庭に生まれ、普通に育てられたはずの僕なのに、何故だか僕は普通には生きられなかった。 僕は人が集まる場所が嫌いだ。 人が集まれば、そこにはいつの間にかグループができる。 人間は本能的に、自分と気の合う人間を見分ける生き物だ。 それは誰に教えられるでもなく、自然とそういう風になるものらしい。 でも僕には、そんな当たり前のことが、とても難しく感じられ、僕はいつも集団の中でつま弾きにされる人間だった。 どうして僕は、いつもまわりの人たちと仲良くできないのだろう? どうして僕だけが、仲間外れにされてしまうのだろう? 僕は自分という人間が、嫌いだった。 もしも願いが叶うなら、僕は瀬川清人ではない別の人間になりたかった。
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