瀬川清人の過ち

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僕は学校のクラスメイトが、みんなで集まって、楽しそうに話している姿を見ると、ゾッとして血の気が引いた。 僕はどんなに頑張って、努力してみても、あんなに楽しそうには笑えない。 あのグループの中に混じって、話す言葉も見当たらない。 人を楽しませる会話って、いったい何なのだろう? もしも僕があのグループの輪の中に入って、話しかけられたら、どんなリアクションをすればいいのだろう? 僕はそんな憂うつなことを考えて、ビクビクと生きることよりも、誰とも人付き合いをせずに、一人でいることが好きだった。 そんな僕は、インターネットの世界が大好きだった。 インターネットの世界にいるとき、僕は自分が大嫌いな瀬川清人から離れ、理想の自分になることができた。 リアルな僕を知らないネットの世界の友だち。 僕は生涯、一度もリアルに会うことはないであろうそんな友だちを、心から大切にしていた。 なぜなら、ネットの中の友だちは、僕の心を傷つけようとはしないから……。
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