16人が本棚に入れています
本棚に追加
ピタッ、ピタッというおかっぱ少女の足音を聞きながら、美智子たちは体を寄せあって、息を止めていた。
自分たちの存在は、まだおかっぱ少女には気づかれていない。
でも、おかっぱ少女がこの教室からいなくなるまで、自分たちは息を止めていることができるだろうか?
美智子は胸のうちに、大きな不安を抱えながら、必死に息苦しさと戦っていた。
「私の御守り、どこだろう?
大事な御守り、どこだろう?」
おかっぱ少女は、不気味なつぶやきを続けながら、理科室の中で御守りを探している様子だった。
美智子は、その様子をチラチラとのぞき見ながら、祈るような気持ちで、願った。
〈 お願いだから、早くこの教室からいなくなって。
みんなの呼吸が止まっているうちに。
そうでなければ、私たちの息が続かない…… 〉
最初のコメントを投稿しよう!