別校舎の悪夢(2)

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ピタッ、ピタッというおかっぱ少女の足音を聞きながら、美智子たちは体を寄せあって、息を止めていた。 自分たちの存在は、まだおかっぱ少女には気づかれていない。 でも、おかっぱ少女がこの教室からいなくなるまで、自分たちは息を止めていることができるだろうか? 美智子は胸のうちに、大きな不安を抱えながら、必死に息苦しさと戦っていた。 「私の御守り、どこだろう? 大事な御守り、どこだろう?」 おかっぱ少女は、不気味なつぶやきを続けながら、理科室の中で御守りを探している様子だった。 美智子は、その様子をチラチラとのぞき見ながら、祈るような気持ちで、願った。 〈 お願いだから、早くこの教室からいなくなって。 みんなの呼吸が止まっているうちに。 そうでなければ、私たちの息が続かない…… 〉
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