3043人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
***
それから二週間ほどあとの六月上旬、僕は桐谷たちの結婚式に出席した。
いつかのドレスショップの担当者が言ったようにかなりの金をかけたらしく、豪華さだけは申し分なかった。
けれど、その裏ではクーデターがほぼ確定となっていて一般社員レベルにも噂も回り始め、かえってその豪華さが最後の打ち上げ花火のように見えた。
「聞いたか?専務の」
「ああ。顧問だろ?体裁だけは繕ったけど島流しだよな」
「もう再逆転は不可能なわけ?」
「らしいよ」
「桐谷もまずったねぇ」
「心中は葬式だろうな」
披露宴のテーブルでは、前で繰り広げられる派手な出し物や二人を誉めちぎるスピーチそっちのけでそんな話がヒソヒソと交わされていた。
最初のコメントを投稿しよう!