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猫たちの部屋に入ると、とても育ちが良くは見えない成猫ばかりの光景に、彼女は驚いて入口で足を止めた。
「ここって……」
脱走癖のある猫が多いので、とりあえず急いでドアを閉める。
「野良猫の保護施設だよ」
「……」
彼女は目を見張ったまま無言だ。
「実は一匹、僕が勝手に決めたんだよね。気に入ってくれるといいんだけど」
いざとなると心配になってきた。
できればあの茶猫を連れて帰りたいけれど、彼女が気に入るかどうか。
せっかく僕になついてくれたのに、これっきりになったら傷つかないだろうか。
スタッフが以前に言っていた通り、心を持つ生き物を相手にすることの責任を感じる。
するとその時、僕を見つけたらしく、あの茶猫が猫の群れから抜け出してトコトコとこちらにやってきた。
「にゃー」
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