ライバル模様あれこれー1

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ひとり蚊帳の外状態の中、笑顔を張りつける僕の目の前で、猫はちゃっかり彼女の膝に乗ってゴロゴロ甘えている。 「抱っこしてもいい?猫ちゃん」 「ふにゃーーん」 それにしても態度が違いすぎるんじゃないのか? 彼女の腕に抱かれ、胸に顔をこすりつける茶猫がどや顔に見えるのは気のせいか。 「一緒におうちに来てね。ずっと一緒に暮らそうね」 でも彼女が気に入らないのではという心配は杞憂だったようで、彼女は嬉しそうにずっと猫を離さず話しかけている。 うんうん、そうだ僕はこんな姿が見たかったんだ。 スタッフが離れた隙に彼女が僕を見上げた。 「ありがとう……本当に最高のプレゼントです。一緒に過ごせて、引っ越しもできて、猫ちゃんまで。最高に幸せな誕生日です」 笑って細めた目からポロリとこぼれた涙に、これまでの苦労も何もかも吹き飛ぶ。 ところが、彼女の次の言葉で僕は真顔に戻った。 「この子、カツオって名前にしていいですか?」 カツオ……。 タマでもポチでもなく、どこからどう聞いても人間の男の名前だ。 それも、そこはかとなく漂う時代臭が何ともリアルな。
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