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首をひねり、サイドテーブルの時計を見ると、時刻は五時半。
眠りは深かったのに、昨夜の余韻のせいか早朝に目が覚めた。
緩んだ僕の腕の囲いの中で、彼女はまだ眠っている。
規則正しい寝息を聞き、髪に鼻を埋め、起こさないよう気を付けながら額をそっと唇で撫でる。
しばらくすると、忍耐力のない僕のせいで、眠りが浅くなった彼女がもぞもぞ動き始めた。
小動物みたいな動きをじっくりと観察する。
「……おはよう」
薄明かりの中で黒い瞳がぱっちり開かれたのを見て顔を覗き込むと、彼女はしばし瞬きをしたあと、状況を思い出したらしくヒクッと息を吸い込んで硬直した。
「……おは、おはよ、ございます……」
間近な黒目がじっと僕を凝視して、少し掠れた小さな声で尻すぼみな挨拶が返ってきた。
二人で迎える初めての朝だ。
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