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「寒くなかった?」
抱き寄せながら素肌を撫でて、わざわざ裸であることを思い出させる。
「……はい」
消え入りそうな声を聞いて少し笑い、しっかりと抱き直してから顔を上げさせた。
「誕生日おめでとう」
本当は昨夜にも言ったのだけど、彼女は息切れも収まらないうちに眠り始めてしまい、聞いていなかったようだ。
「ありがとうございます。あの……幸せです。すごく……すごく」
僕の首もとに顔を埋めたり上げたり、彼女が照れながら返事する。
それから、無言の甘く気だるい抱擁と愛撫の時間が始まった。
カーテンの隙間から差し込む光はどんどん明るくなっていく。
初めての朝で、しかも彼女の誕生日なのに、朝っぱらから飢えたケダモノになるのはいただけない。
まずいまずいと思いつつ手放せず、いよいよ危なくなってきたところで、解除するのを忘れていたアラームに邪魔されてようやく諦めた。
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