ライバル模様あれこれー1

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「……」 「……」 これは、間違いなく黒だ。 昨日の原因が誰かは別として、桐谷は合鍵を持っている。 婚約騒動の渦中、彼女は失意のあまり取り返すどころではないまま忘れていた……とか、そんなところだと思うことにする。 「……ま、とにかくあの部屋はもう危ないね。セキュリティもないし」 目的のためなら、不本意な情報でも素知らぬ顔で利用すべし。 効果アップのため少々の沈黙を置いてから、背が縮んだのかと思うほど小さく丸まっている彼女に、にっこりと微笑みかける。 「引越し日和だね。二人とも休みでちょうどよかった」 窓の外の晴天を笑顔で指差しながら、僕は将来、嫌な上司になるタイプに違いないと思った。 専務みたいなのにはなりたくないんだけど。
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