3117人が本棚に入れています
本棚に追加
ランチを挟み、僕の家であれこれと彼女の物の配置を定めると、ようやくお猫様が待つ郊外へと車で彼女を連れ出した。
猫ケージをトランクに積み込まなければならなかったので、出発前に彼女には猫だということだけは明かした。
どうやら猫ケージの箱でばれていたらしいけれど、野良猫なのは秘密だ。
「え……ここ、ペットショップですか?ブリーダー?」
看板も何もない質素な施設の前に車をつけると、彼女は不思議そうに辺りを見回した。
「入ったら分かるよ。中にいるのは子猫じゃないんだ」
門番の灰色猫の検問を抜け、奥に進む。
門番猫は彼女が撫でるとコワモテの顔に似合わない甘い声で「にゃあ」と鳴いた。
睨む・唸る以外の動きを見たのは初めてだ。
最初のコメントを投稿しよう!