俺じゃない。

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2ちゅん、というネット掲示板に落とし魔犯人の顔晒せというスレッドが立っており、その投稿がアップされているではないか。 ハハっ!マジかっ! そのハハっというものすごく小さな声は出たものの軽く咳払いし「こいつオワタ」というコメントと共にアップされた画像をダウンロードする。 ポールにしがみついた老人をチラリと見るが、またすぐにスマホの画面に視線を戻す。 …!ええっ!?嘘だろ? タカシが見たその画面にはまさしくタカシが誰かをホームから線路上へ突き落とす画像がアップされていた。 鮮明に。眼鏡の形までくっきりと。 電車が自宅最寄り駅に着く。 素早く立ち上がり確実な小回りでホームになだれ出る。 …いやいやなんかの間違いだ…ハッ!まずい!誰かに見られると非常にまずい! しかし、ホームの群衆が方々でつぶやきはじめる。 ヒソヒソ…こいつだ…こいつよ…犯人だ…落とせ…落としてしまえ… 引き摺られる。 違う…!俺じゃない!俺じゃない!俺じゃないんだって! 引き摺られる。 まるで一致団結してるかのように全員が睨みながらタケシを引っ張る。 …い、いったい何がどうなっているんだ…!誰だよ!誰だあんな精巧なコラージュ画像作ったのは…!! 引き摺られる。 改札へ向かう階段に近づけないほどホームが混み合うなか意図的な力で素早く同じ方向に引き摺られる。 あ。 群衆に物凄い勢いと力で引き摺られ逆側のホーム端で足を踏み外しバク宙のように後ろに半回転しながらドスンと落ちる。 ウグァ!いてぇ!すげぇいてぇ! すぐ近くまで次の電車が来ている…。 い…ったい誰がネットにあんな…イタズラ…。とホームへ顔を向けると2人の老人を中心にホームの群衆全員がこちらを睨んでいる。 なんで…。 老人2人「ワタシタチだよ。」 右端の席の老人とポールの老人が同時に言い放った。 反対側の車線の電車は緊急停止した。
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