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放課後
『待ってるついでに、購買で菓子パンと飲み物買ってきてくれ。お金は後で渡すからさ』
幼馴染はそう告げてから教室を出て行った。
『待っててくれだの、買ってきてくれだの注文の多い奴だ』、と声に出さずに愚痴る僕だが、小腹が空いていたので素直に購買へ行き、菓子パンと飲み物を2つずつ買った。
『お使いしたのだから、僕の分の代金も請求しちゃお』
購買での買物後、真っ直ぐに自教室へと戻った。
解放していたドアを潜ると、女の子が僕の対角側の窓を開け、肩より長い髪を吹き込む風に靡かせながらグランドを眺めていた。
優しげな表情を浮かべ、少し傾いた日差しに照らされた姿を見て、僕は大袈裟かも知れないが女神だと思った。
その姿に見惚れて立ち尽くしていると、女の子が此方を振り返った。
その顔は少し驚いた様だった。
が、直ぐに微笑みに変わると、近付きつつ話しかけてきた。
「__君、だよね?」
「そう、だけど……」
「私の事覚えて……、は、無いよね」
「……」
はて、この子は僕の事を知っている口調だった。
必死に記憶の引き出しを開けるが全く出てこない。
黙り込み考えている僕の姿を見る女の子は、少し寂しそうな顔をすると、又微笑みを浮かべて話し出した。
「昔、とある公園で泣いているところで、助けてくれたんだよ」
「…………あっ」
ふと、出てきた記憶。
それはつい最近見た夢であり、過去実際あった記憶。
「あ、思い出してくれた?」
女の子は嬉しそうな笑顔を見せた。
「僕が今思い出してた記憶で合ってるなら、助けたって気がしないんだけど…」
そうとある公園で会った少女、いや幼女か。は、助けたというより、慰めたという方が合ってるはず。
だが、女の子は頭を振り否定した。
「君からするとそうかも知れないけど、私からすれば助けられたんだよ」
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