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過去
その日僕は暇だったのだ。
午前中はゴロゴロと寝て過ごし、昼飯を食べるとご近所さんの幼馴染の家へ向かった。
しかし、インターホンを鳴らしが反応は無かった。
(後で知ったが家族で買い物に出てたそうだ)
完全に暇になった僕は、取り敢えず思い付く事を色々やることにした。
行ける範囲を冒険し、整備された小川があれば覗き込み、ザリガニや魚を探して見つければ観察し、あまり近付かなかった林の中を探索し、飛行機が飛んでいればそれを眺めた。
可能な限りを堪能しながら、足を進めると、公園前に辿り着いた。
(そういえば、ブランコとかまだやってないや)
何種類かの遊具がある中、迷わずブランコの元へ向かうと、ブランコ横のベンチに膝を抱えている子が居た。
……目的変更。
「ねえ、どうしたの?」
その子の前で膝を着いて顔を覗き込む形で声を掛けた。
グズッ、シック、と、嗚咽が聞こえる中、過ごし膝から顔出したが再び顔を埋めてしまった。
「むー……」
少女の反応に少し困り、覗き込んでいた顔を上げると、泣いている子の全身を眺めた。
其処で少女の膝が少し傷付いている事に気が付いた。
僕は「待ってて」と声を掛けると、公園の水道へと向かった。
其処で常備しているポケットティッシュ(母親が『あると色々と便利だから』とポケットティッシュだけは必ず持たせる)に水を付けると、女の子のところへ戻る。
「ちょっと痛いかも、御免ね」
そう声を掛けてから、濡らしたティッシュで、女の子の少し擦りむいた膝を優しくポンポンと軽く叩く。
その間も少女は変わらず嗚咽を上げながら、膝に顔を埋めていた。
傷の血は滲み出た程度だったので、膝は直ぐに綺麗になった。
血を拭いたティッシュをズボンのポケットへ押し込むと、少女の横へ座り考える。
女の子が目の前で泣いていたらどうすればいいか、と。
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