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──Flashback──
狂ったように強烈に連打される筋肉質なドラムの歪んだ8ビート、神経を逆撫でする金属的でチューニングのずれたディストーションギターの切り裂く響き、エロティックなほど下品で不安定にディレイがかったアルトサックスの滑稽なメロディ、叫びとも囁きとも歌とも会話とも何語とも形をなさないプリミティヴな声──それらが渾然一体となって音の塊になり、出口のない閉ざされた部屋の中を暴れまわっている。
たった二つしかない出入り口の、ヴェランダへ通じるサッシ窓の引き戸にはクレセント錠が、玄関ドアにはサムターンが、きっちりと回転させられ、その1DKの狭い空間は内側から鍵が掛けられていた。
壁際にはハードカヴァーや文庫の本が山積みになって散在し、いくつかの活字のビルディングはバラバラに崩れている。
まるで子供が無邪気にオモチャ箱をぶちまけたように、エレキギター、エフェクター、キーボード、エレドラのモジュールやパッド、スティック、諸々のコード類がフローリングの床に散らばっている。
そしてその中心には、真っ赤な双眸で無心に虚空を見つめる、切断された男の頭部が転がっていた。
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