お嬢様と貧乏人の恋模様

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「……え?ここ……はお店ですの?」 「……そうだけど?どうかした?」 汚れたツナギをきた男と、少し古びた『肉食い亭』と暖簾がかかったお店を前に美麗<ミレイ>は絶句した。 ここは本当にお店なのかという点と、お店だとしても言っては悪いが、果たしてこんなお店で美味しいものが食べれるのかが疑問だったからだ。 「まじでここ安くて美味くてオススメなんだぜ!」 困惑気味の美麗に気が付かず、隣の陸<リク>はお気に入りのオモチャを自慢するかのよう目の輝きを見せた。 美麗は、その名のとおり美しさと麗しさ。容姿の華やかさだけでなく、経済力もあった両親に甘やかされて育ったまさに『お嬢様』だった。 勿論、そんな美麗の事を周りの人間も放っておく筈がない。 男子からは恋心、女子からはあこがれの的で、皆にもてはやされ、これが食べたいなと軽い気持ちで呟けばいつの間にかそれが目の前に並び、あそこに行きたいと言えば連れて行ってもらえた。 それら美麗のわがままを可能にしているのが、【美麗様の手となり足となり!あなたの為に生きていきます!】がモットーの『美麗親衛隊』の存在だ。
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