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少女は身長から見て中学二年生や三年生かそこらだ。見た目も普通の人間だし、普通に考えれば宇宙人とは考えにくい。
刑事が笑い転げているが、少女はその様子に慌てるでもなく、冷ややかな視線を浴びせていた。
「そう思ってもらっても結構。むざむざ殺人鬼を町に放つことになるがな」
少女は脅迫するようなゆっくりした声で、しかし抑揚のない声で言った。これには刑事さんも黙った。
すると、少尉が一歩前に出た。
「じゃあ、君が宇宙人だということを証明できるか?」
少尉はにやりと笑った。宇宙人だと証明できなければただの地球人として捜査するつもりなのだろう。
すると少女は首を縦に振るでもなく、横に振るでもなく口を開いた。
「誰か鉄を持っているものはいるか?純鉄製のものを」
少尉がハクト含む若い隊員に目配せした。すると、ハクトの隣にいたものがポケットからはさみを取り出す。
「刃の部分が純鉄製です」
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