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担ぎ上げて走っていった。
ハクトも他に住民が逃げ遅れてないか確認すると、兵器から少し距離をとった。
兵器は人を脅すようにその場に立ち止まりまわりのビルを崩し始めた。ホースのように伸びた長い手はゴムのようにしなって柔らかそうなのに、コンクリートとそれがぶつかると砕けるのはコンクリートの方だ。
しかし、暫くして兵器の様子がおかしいことにハクトは気付いた。兵器は戦意を無くしたように腕を垂らし、動かなくなった。すると、兵器の球体部分の左側が炎を上げ、兵器は右に倒れ、次の瞬間、爆発を起こした。
隊員たちはじっと倒れこんだ兵器の様子を見る。そして、次の瞬間、隊員たちは誰からともなく歓声を上げた。少尉も驚き半分嬉しさ半分といった様子だ。今まで誰も倒したことのなかった兵器を自分たちが倒せるなんて思ってもいなかったのだ。これは世界に称されるべき快挙だ。
その時、一人の隊員が大きい声を上げた。
「中から誰か出てきたぞ」
その声にその場にいた者は皆硬直する。大勢の人々を殺した宇宙人かもしれないのだ。自然に武器を持つ手に力が入る。しかし、再び大きい声が上がる。
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