マザー2のエンディング(のみ)

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四人はは可能性の全て諦めて深い絶望の谷に身を投げた。涙を飲んで弱音も吐かず文句の一つも言わず、願っても叶わない未来を捨てた。 それは帰りのない一方通行の道。行けば決して戻れぬと、その覚悟だった。 4人は孤独だった。孤独なのは死ぬことよりも怖かった。だから今、最後の勇気が必要だった。長い旅で出会った人達の思いに支えになり、仲間との絆が力になった。一人だったなら、きっと打ち破れていたであろう。 時空を超え、ギーグという闇に包まれ、現実とは遥かに隔離された空間で、4人は孤独という名の絶望に打ち勝った。悪夢は終わり、後に残ったのは静寂と、小さな達成感と、遥か遠くの世界に帰りたいという思いだった。 誰からの愛も届かないその場所で4人は倒れた。体がもう動かないのは安堵のせいか。ネスは隣で倒れているポーラを横目に見ながらも、少しずつ意識が薄れていくのを感じていた。 ネス達の戦いは終わった。 機械に移植された魂が元の体に戻る保証はない。勝っても負けても待っているのは残酷な運命だけかもしれないと、それでも運命に従い突き進んできた。途中で使命を放棄するのは、仲間との絆や共に乗り越えてきた苦労を全て否定してしまうことのような気がして、それが嫌だった。みんな気持ちは同じだった。悔いなんてない。 しかしネス達の魂は、まだ光り輝いていた。それはボロボロな機械の体を離れ、彼らを待つ人達の元へと飛び出して行った。それは1%もないような奇跡であった。 奇跡とは、最後まで諦めなかった者の頭上に舞い降りるのだ。 サターンバレーではアンドーナッツ博士と多くのどせいさん達に囲まれているネス達の抜け殻の体があった。博士は苦しんでいた。幼い少年少女達に過酷な運命を背負わせてしまったと。彼らを本当は止めるべきではなかったかと。胸が張り裂けそうな思いで祈り続けていた。4人全員が無事に目を覚ました時、博士はとめどなく涙が溢れた。 上を見上げると雲一つない青空があった。そこでは世界の春を迎えた太陽が、ここサターンバレーにだけ祝福の光を注いでいた。
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