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「俺とお前の旅はここまでのようだな」
初めに切り出したのはプーだった。この冒険から、仲間達から卒業する時がやってきた。美しく咲いた桜が一瞬にして散るような悲しみがあった。
「ランマに帰ってこの経験を役立てるよ。ネス、ポーラ、ジェフ。さよならだ!またいつか会おう」
プーは忍者のように消えていった。目に焼きついたプーの残像に、空虚さが漂った。
「ポーラ、ネス。君達といられて本当に楽しかったよ。僕が今まで勉強してきたことが、あんなにも役に立ったなんて、本当に夢のようだ」
ジェフは二人に別れの握手をして、そう言った。
「もし……もしだけどね、君達が将来結婚するようなことがあったら、電気製品の修理は僕に任せてくれ。僕はもう少しここに残ってパパから色々な事を教えてもらうよ」
住む世界が違う中、不思議な縁により彼らは一つに集まった。知らない他人と運命を共にした。旅の果てに求めていた答えを見つけられたか今でも分からない。もしかしたら意味なんてなかったのかもしれない。
「とりあえずさよなら……親友たち」
しかしそこで築いた本物の絆は、かけがえのない宝物ではないだろうか。
旅が終わり、彼らはそれぞれの道を歩み始めるであろう。そうして離れ離れになっても、思い出は永遠に彼らの心に残り続ける。長い人生の中で孤独で苦しい事が何度あろうとも、その記憶が彼らの未来を照らしてくれるかもしれない。
今はただ、別れを思うだけで胸が張り裂けそうだけども……
「ネス、私を送って行ってくれる?」
最後の仕事が待っていた。
「うん……」
「みんなとお別れするのは寂しいけれど、もとのただの子供に戻らなきゃね。行きましょう……」
ネス達はジェフとアンドーナッツ博士に見送られてサターンバレーを後にする。しかしテレポートで向かう先はツーソンではなかった。
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