第1章

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目の前を、大きな川がたゆたっている。 ここ連日の猛暑で、川の水もこころなしか元気がなさそうだ。 けれど、浸した足には冷たい恩恵を与えてくれる。 日光が厳しいのに、川は優しかった。 「ねえ、ユタ」 私の背後で、立ってしきりにカメラのシャッターを切っている、優隆(ゆたか)こと通称ユタに声を投げた。 「ん~、なんだ?」 撮り終えた光景を、カメラの窓枠で確認している。
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