第5章

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こういう時に、離れたいのに離れられないのは地獄だ。 昨日は、逃げるようにユタの元を去った――実際、逃げていたのだけれども。 それでも学校には行かなきゃならなくて。 中1の時からずっと同じクラスだったユタとは、今も同じ教室にいて。 しかも、私の斜め前の席という、近距離。 距離は近くても、こころの距離は遠い。 今は古典の授業中で、彼は淡々とノートをとっている。 その、ユタの左腕に見える、メタルの重そうな時計。
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