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私は黒板を指さして、咄嗟の言い訳をした。
「――『ちごとかいもちひ』で、泣けるところあるのか?」
先生の呆れた言葉が返ってきた。
「え、えとっ。稚児が、ぼ、ぼたもちが食べたくても、すぐに返事をするとあさましいと思われるのが嫌なの……、よく、解って……」
教室内に爆笑が起きる。
やれやれ、と先生は教科書を教卓に置く。
「安西はそんなにぼたもちが好きか」
「は、はい」
「じゃあ、欲しい時に欲しいと言わないとな」
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