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馬の頭を持ち、影で地を真っ黒に染めてしまうほどの大きな翼を持つ神獣『慶飛』は、ある空が気に入り、暫く留まっていた。
華の薫りが風に混じるこの空を、慶飛はことのほか好きになった。
風に吹かれ、慶飛の羽根が飛ぶ。
体を覆う鱗は代謝が激しく、古いものが取れては新しいものが生えてくる事を繰り返す。
慶飛が留まる空の下は大陸と大陸に挟まれた海原である。
慶飛は何万年もその空に留まった。
慶飛の羽根と鱗は海に落ち続け、それは一つの大陸になった。
やがて、大陸に人が住み始める。
神獣慶飛の鱗で形成されたこの大陸を、人々は『慶鱗大陸(ケイリンタイリク)』と呼ぶようになった。
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