儚い命

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 景虎は前年元服したばかりである。つまり15歳ということだ。それを聞いたときは驚いた、まさか自分より3つも年下の女の子が城主だなんて。 「わかりました」  景虎が静かに告げる。次の言葉を俺も実乃も待つ。 「実乃、どれくらい集まりますか?」 「現時点であれば150から250ほどなら集まりましょう」  実乃がそう言うと景虎は今度はこちらを見る。 「輝広、初陣です」  そう言うと景虎はにこりと俺に笑いかける。 「18で初陣とは、まこと遅い初陣よの」  実乃が俺を見て笑う。 「ははは、まぁ、仕方ないですよ」  軽く流し景虎を見る。彼女も今回が初の戦、つまり初陣である。自分はほぼ強制的に去年家臣にされ、指示通りに働けばいいというような感じなのだが景虎は城主として兵士たちを引きいらなくてはいけない。それがどれほど重いことなのか俺には想像がつかない。 「実乃、輝広をあまりからかわないように。それとはやく兵を集めてくださいね」  そう言うと彼女は道場を出て行ってしまった。 「よし、では輝広殿、いこうぞ」  実乃にバンと背中を叩かれ気を引き締め彼の後を追った。  ー栃尾城の戦いー 「うわ……」  城内から外を見る。そこにはこちらの倍以上の兵士がいる。豪族が城外に陣を構えているのだ。 「輝広、怖いですか?」  隣にいる景虎が尋ねてくる。彼女はじっと敵陣を見ている。その佇まいは本当に様になっていた。 「まぁ、少しは」  戦とは殺すか殺されるかの戦いだ。怖くないといえば嘘になるが非現実なことを前に俺はすこし興奮しているみたいだ。 「すこし、ですか。私はとても怖いです」  そう答える景虎はすこし不安そうこちらを見て城内の兵士に視線を移した。 「あの者たちが命を失うと考えると震えてしまう」  そこまで言って景虎は俺の手を取り城門まで引っ張って歩く。  この場に似つかわしくない女性。彼女の手は思ったより柔らかくその柔らかさにドキドキする。 「実乃がうまくやってくれるといいのですが」  城門についたとき彼女は俺の手を離し馬に乗る。  突然どこかで戦うような音と声が聞こえだした。 「いきますよ、輝広。死なないでくださいね」  景虎はそう言うと城門を開けるように兵士に告げる。
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