儚い命

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 城門の先には敵の軍勢が見える。しかし敵の多くはこちらを見ずに背後に現れた別動隊の相手をしていた。 「いくぞ!」  景虎が叫び自ら敵陣へ向かって馬を走らす。それに続き俺もほかの兵たちも走る。  ついに敵の軍勢との戦闘が始まった。こちらの軍勢は別動隊含め200人ほどである。対して敵軍勢は300~400だ。  普通ならばこちらが不利であるが別動隊の奇襲のおかげで敵陣は混乱している。そこを長尾景虎率いる本隊が突撃し挟み撃ちにした。 「うわああああ!」  雄たけびを上げながら俺自身も刀を振るう。その刀は無慈悲にも敵の命を奪っていく。  二人目を斬り捨て三人目の敵の刀を受ける。 「うわっ」  相手に刀を力強く弾かれしりもちをついてしまう。相手はそのまま俺めがけて刀を振ろうと振りかぶる。 「あ……」  情けない声が漏れてしまったが振り上げられた刀は降ろされることなく、ばたりと相手は横に倒れてしまう。 「おぉ、誰かと思えば輝広殿ではないか」  相手から槍を引き抜き声をかけてきた顔には見覚えがあった。 「実乃さん……」  実乃の差し出した手につかまり起き上がる。 「命拾いしおったな。それより見ろ、殿の策、うまくいったようだぞ」  そう言いつつ実乃は近くにいる敵を斬る。周囲の敵はもはや戦う意思を失い始めている。中には逃げ出す者も多く出始めた。  しばらく俺や実乃は戦意を失っていない敵の相手をしていたが、だんだん敵の数も減り最後にはこちらの軍勢の勝鬨のみ聞こえていた。  ー酒宴ー  家臣団はみな楽しそうに歌を歌ったり酒を飲んでいる。 「どうした! 輝広殿ももっと飲め!」  少し酔っているのだろう実乃が酒をぐいぐいと勧めてくる。 「あ、いや」  まさか18歳にして酒を口にするとは思っていなかった。そんなことを思いながらぐっと酒を口に運ぶ。 「おお! いい飲みっぷりよ! 殿! ささ!」  俺の飲みっぷりを見たあと実乃は景虎のほうへ酒瓶を持って千鳥足で歩いていく。  周りを見回す。本当にみんな楽しそうにしている。  ちょっと風にあたろうか。そう思って席を立つ。 「輝広殿? どうなされた?」  家臣の一人が俺に尋ねる。
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