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説明するの難しいな。伝わったかな?
「へー、なかなか凝っているじゃないか」
「ほんと!?」
先生が褒めるなんて珍しい。なんか嬉しいな。
「先生も来るんでしょ、文化祭」
「行かない」
「なんでー!?」
「ガキだらけだろう、文化祭なんて。そんな中に行きたくない」
えー? 客商売のくせにー!
先生を案内できたらなって思っていたんだけど……。やっぱり好きな人と文化祭を回るってやってみたいじゃないか。先生が同級生だったらそんなこともできたのかな……。
「みちる、当日は一緒に回りましょ」
「ほのこ……!」
半年に一度のほのこのデレだ! このタイミングで来るとは!
「もちろん! 一組ね、カレー屋さんするんだって! ほのこカレー好きでしょ? 行こう?」
「えぇ、いいわよ」
やったー! あたしは思わずほのこに抱きついた。
と思ったら肩を後ろから引っ張られて、ほのこから引き剥がされてしまう。
「俺も一緒に回る」
首を後ろに倒すと、そこにいたのは航だった。航はジャージ姿だ。サッカー部の練習終わってそのまま来たのかな?
「航。部活おつかれー」
「うん。文化祭、俺も回るから」
航は繰り返す。
「えー、でもサッカー部の子とかいいの?」
「平気だ」
航がそこまで言うならいいけど……。なんで先生を睨んでいるの?
先生はため息を吐いて、本を閉じた。
「館長、今週の分の修理は終わった。俺帰るから」
「おぉ早かったね。まだ日差しは厳しいから気をつけて帰るんだよ」
先生は「おぉ」と返事をして資料館を出ていってしまう。
……もっと一緒にいたかったな。
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