三 彼岸過迄

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 説明するの難しいな。伝わったかな? 「へー、なかなか凝っているじゃないか」 「ほんと!?」  先生が褒めるなんて珍しい。なんか嬉しいな。 「先生も来るんでしょ、文化祭」 「行かない」 「なんでー!?」 「ガキだらけだろう、文化祭なんて。そんな中に行きたくない」  えー? 客商売のくせにー!  先生を案内できたらなって思っていたんだけど……。やっぱり好きな人と文化祭を回るってやってみたいじゃないか。先生が同級生だったらそんなこともできたのかな……。 「みちる、当日は一緒に回りましょ」 「ほのこ……!」  半年に一度のほのこのデレだ! このタイミングで来るとは! 「もちろん! 一組ね、カレー屋さんするんだって! ほのこカレー好きでしょ? 行こう?」 「えぇ、いいわよ」  やったー! あたしは思わずほのこに抱きついた。  と思ったら肩を後ろから引っ張られて、ほのこから引き剥がされてしまう。 「俺も一緒に回る」  首を後ろに倒すと、そこにいたのは航だった。航はジャージ姿だ。サッカー部の練習終わってそのまま来たのかな? 「航。部活おつかれー」 「うん。文化祭、俺も回るから」  航は繰り返す。 「えー、でもサッカー部の子とかいいの?」 「平気だ」  航がそこまで言うならいいけど……。なんで先生を睨んでいるの?  先生はため息を吐いて、本を閉じた。 「館長、今週の分の修理は終わった。俺帰るから」 「おぉ早かったね。まだ日差しは厳しいから気をつけて帰るんだよ」  先生は「おぉ」と返事をして資料館を出ていってしまう。  ……もっと一緒にいたかったな。
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