第零章

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 二○XX年、世界中に突如出現した摩天楼、通称【迷宮塔】。  直径十キロに及ぶ円柱型の建物をわざと中心をズラして重ねた歪な建造物は、一切傷をつけることが出来なかった。  内部は各塔ごとに異なり、石造りの迷宮、霧の濃い樹海など様々である。  しかし、塔には共通点があった。  一つ、一度に入れる人数が決まっていて再度入るには時間をおかなければいけないこと  一つ、内部には異形のモンスターが存在し、 時折塔の外に出てきて人を襲うこと  一つ、五階層ごとに主と呼ばれるモンスターが存在し、これを討伐しなければ次の階層に進めないこと  モンスターと呼ばれるものが厄介で、世界対戦で猛威をふるった機関銃など豆鉄砲同然であり、戦車などを運用するにもコストがかかり過ぎる。  ましてや実体のないモンスターなどは逃げるしか手はなかった。  しかし、塔ができたことによる最も大きな被害はインフラであった。  太平洋にできた塔により、クラーケンやシーサーペントといった怪物が海を支配し、海運などできたものではない。  陸、空にも同じ事がいえ、国内でさえ録に輸送ができないのに貿易など夢のまた夢のであった。  そして文明は衰退の一途をたどり、現在の国は機能を失った。    
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