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何かの領域
部屋の模様替えをしたら、何故か起きると疲れている、という状態になった。
最初は、家具などを動かしまくったから疲れてて当たり前だと思っていたけれど、何日経っても疲労感が取れない。どころか、日増しに体は重くなっていく気がする。
何か、病気にでもかかってるんじゃないだろうかと、体調を疑いだしたある日、誘われて友達の家に泊まることになった。
その翌朝。何人かで酒を飲み、床で雑魚寝をしたというのに、起きた時の体調はいつもよりすこぶる良かったのだ。
もしや、家具を移動させたことが原因なのか?
だったらすぐに戻そう…と思ったが、原因があるなら知っておきたいと思い直し、俺は友達にビデオを借りて、一晩自分のベッドを撮影してみた。もちろん、この夜は別の場所で寝た。
さて翌日、撮影したい映像を確認してみると、そこには奇妙な物が映っていた。
異変があった時判りやすいよう、掛け布団を剥がし、真っ白なシーツをピンと張っておいたのだが、真夜中、シーツ上に謎のくぼみが現れたのだ。
見てる間にも、シーツのあちこちにくぼみができる。少しすると消えるけれど、次から次へとくぼみは生まれ、片っ端から消えていく。
まるで、雪の日の足跡みたいだ。そんなことを考えていたら、シーツのくぼみは完全に消えてなくなり、そこからはもうできなくなった。
時間にしておよそ二時間。自分の表現にならうなら、ベッドの上をずっと何かが歩き回っていたということか。
状況を確認した後、俺は家具の配置を以前通りに戻した。そのかいあって、今は疲れの残らない睡眠を満喫できている。
ただ、知ってしまった以上、どうしてもあの映像をなかったことにはできないので、そこそこ金が溜まって別のアパートに引っ越すまでは、模様替えでベッドを置いたあの位置には、昼でもなるべく近寄らないようにしている。
何かの領域…完
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