第卒章

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教室にはもう僕と彼女だけになっていた。みんなはもう先にいってしまった。僕達3年1組の教室の黒板には卒業文字が真ん中に書かれていた。みんなそれぞれ好きなことを書き教室を出てった。 彼女は黒板の前に立ち僕を見た。彼女の顔は笑顔だったが、目には涙がうかんでいた。それが嬉しいのか悲しいのかは誰もわからない、彼女自身ですらも。 僕はそんな彼女の手を取り、出来るだけ優しい声で言った。 「大丈夫。こうして手を繋いでいれさえすればまたきっと会えるよ。約束する」 すると彼女は何も答えず僕と一緒に窓の方に向かった。それが彼女の……僕達の答えだった。窓の外ではクラスメイト達がもう待っていた。僕達は窓の縁に腰をかけ、僕は彼女を、彼女は僕をじっと見ていた。そして僕と彼女の声が重なった。 「「またね」」 僕達は卒業したけど、みんなとはまた会える。そう思い、僕達はこの教室を後にした。みんなのもとへ逝くために…………
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