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この物語の着想は、僕(=進藤ハルヒト)に探偵なんて無理という物でした。どういうことかと言いますと、僕は推理小説を読んでいると、作中の作者が仕掛けた罠に面白いくらい綺麗に引っ掛かるんですよ。特に酷いのが「焼死体が出たら入れ替わりを疑え」のような推理小説の決まりごとにもまんまと引っ掛かるところです。
まさにそれを、今回推理小説にしました。
それでは推理小説の決まりごとの何を使おうか。「焼死体トリックは前に使っているしなあ」とぼんやりと考えていて、今作のテーマである「首なし死体」にしようと決めました。
話の大雑把な流れとして、「首なし死体発見」→「これは死体入れ替えだ」→「違う」というのは決定事項なので、それでは死体入れ替え以外の首を切る理由ってなんだろうとして考え付いたのが今回の事件の真相にあたる物です。
探偵役として自身を配役することには抵抗がありませんでした。そういう演出を用いる作家がたくさんいるからです。
その祖はアメリカの推理作家、エラリークイーンです。作中のクイーンもまた、現実世界のクイーンと同じく推理作家です。その親にクイーン警視もいます。また、今作「首なし死体のロジック」や他の僕の作品にも散見され、また多くのプロ作家が用いる「読者への挑戦」を挿入するのも、彼らが初めてです。
そのクイーンの「作者と同名の探偵」「その親が警視」という設定をそのまま持ち込んだのが日本の作家、法月綸太郎さんです。
有栖川有栖さんという作家は面白く、大学生探偵の江神次郎の助手としての学生有栖川が登場する「学生アリスシリーズ」。臨床犯罪学者の火村英生と作家有栖川が活躍する「作家アリスシリーズ」。このシリーズらは、さながら合わせ鏡のようにパラレルな関係になっています。
ほかにも京極夏彦さんの描く「京極堂」こと名探偵中禅寺明彦や、道尾秀介さんも作品に助手として登場させています。綾辻行人さんも、本人として登場させたことがあります。
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