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「先輩! ヤバいっすよ、ニュース見ました?
あの女の死体が見つかったって・・・」
先輩と呼ばれた男は、
ソファーに座ってゴキゴキ首を鳴らしている。
答えるのもめんどくさそうだ。
「ボケェ、真二ぃ・・・、
証拠はな~んも残しとらんじゃろぉ?
どんだけニュースになろうと、ばれやせんて。
・・・たくのぉ、あのクソアマ、
おとなしくゆーこと聞いとりゃー、
火だるまになることもなかったのにのぉ。」
・・・数ヶ月前から、一人の少女が行方不明になっていた・・・、
ところがつい先ごろ、
ジョギング中の男性が、湖に浮かんでいた少女の死体を発見したのである。
元々は、石の重りが少女にくくりつけられていたようだが、
死体の腐敗が進んだ為か、重りが外れて湖面に浮かびあがったのだろう。
そして警察の発表によれば、少女は生きながら顔を焼かれたらしい・・・。
「・・・たく、アホが、クスリの運び屋なんて楽な仕事じゃろが?
それより真二ぃ、
余計なとこで口滑らさんとけよぉ、
そンときゃおどれが水の底やぞ! ええな!」
真二は高校を中退して以来、ずっとこの男についてきた。
彼に逆らうマネは決して取らない。
「だ、大丈夫っす、オレを信じてくださいよぉ・・・ん?
先輩、ケータイ鳴ってますよ。」
「ん? おお・・・あーこれか? お? 誰じゃ・・・非通知?」
男はいぶかしがりながらも携帯を耳にあてる。
「おー、誰じゃ? ・・・もしもしぃ?」
携帯からの音声は、小さく、
しかしはっきりとした女性の声がこの男の耳に届いた。
『わたし・・・メリー 』
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