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「・・・お姉ちゃん、あの小娘のツレかなんかか?
・・・真二は 死んだンか?」
男は冷静になった。
自分を慕っていた真二を殺された怒りもあったが、
狙われた原因を特定できたこと、
また、相手が対立組織でなければたいしたことはできまい、
という予想が男を落ち着かせたのだ。
だが、男の問いかけに答えはなく、電話は既に切れている。
その後の男の行動はすばやい。
部屋に隠してある武器の確認──手に吸い付く大振りのナイフ、
窓や戸締りの確認、部屋の中の死角のチェック・・・、
そして他の舎弟たちに
連絡を取ろうと携帯を再び開いた時、男に一つの疑問が生まれた。
(なんで真二は簡単に殺られたんじゃ?)
不意をつかれれば、暴力の世界に住む彼らとて遅れをとることはある。
だが、すでに真二は警戒していた。
もし、相手が女性だというなら、
本当に反撃もできずに真二が殺されるだろうか?
・・・そんなことを考えながら携帯のリストを開こうとした時、
またもやそれは鳴った・・・発信者非通知・・・
男はゆっくりとボタンを押し、自分の耳にあてた・・・。
「もーしもーし お姉ちゃんかいのー?」
二、三秒応答はなかったが、ついには、もはや聞きなれた声が流れた。
『わたし メリー・・・ いま、あなたの家の下にいるの 』
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