14人が本棚に入れています
本棚に追加
ピーンポーン・・・
インターホンが鳴った。
そんな馬鹿な、何処に隠れとったんじゃ！？
男は動きを止め、息を潜める・・・。
ピーン ポーン・・・
男はゆっくりドアに近づきスコープから外を覗いた。
・・・案の定、何も見えな・・・
突然、小さな窓の視界が塞がれた！ グレーの瞳がこちらを見つめている、
さっきの人形・・・。
思わず男は外に飛び出す衝動に駆られたが、真二の例もある。
男は部屋の真ん中に戻り、携帯を開いた。
「おぅ、わしじゃ！ 真二がやられたかもしれん・・・連絡取れる奴、
みんな集めてワシの部屋に集合じゃ！ 道具も用意せられ！」
小声で短い指示をした後、携帯を切り、もう一度ドアスコープに寄ってみたが、
もう人形は見えない。
ところが次の瞬間、バスルームのほうから何かを壊すような大きな音が響く。
バスルームにも小窓はある。
だが、人の入れる大きさではない。
そう思ったが、男は恐ろしい事実に気づいた。
バスルームの窓の外は、マンションの壁・・・もちろん、足場になるような何の取っ掛かりもない。
そういえば、真二の話では何者かは三階から侵入したという。
そして恐らく侵入者は、
隣の部屋から一度外に出て、外の壁を伝って真二のいる部屋の窓を・・・。
男は注意深くバスルームの扉の前まで寄った、
曇りガラスの向こうを見透かそうとするも、動くものはない。
そおっと扉を開けてみた。
・・・小窓が窓枠ごと破壊されているっ！？
そしてさらに男の目はバスタブに釘付けとなった。
黒いものが浮いている・・・
無惨にも斬り落とされた真二の頭部だ・・・
「真二ぃ・・・！」
この時、男はキッチンから聞こえてくる、小さな金属音に気づくことができなかった・・・
事前に仕掛けられていたのか、キッチンの換気扇が外されていたのだ。
男が窓の外に注意を向けていた隙に、
「それ」は部屋への侵入を終えていた。
男が部屋の中に再び眼を向けたのは、ほぼ強制的だったといえる。
・・・テレビが突然、大音響で響いたのだ。
男は無言で部屋に戻った。
手に持ったナイフはいつでも反応できる。
画面ではくだらないバラエティをやっていたが、
しばらくすると、画面が乱れ始め、荒々しいサンドストームの音だけが男の聴覚を占拠した。
いや、
テレビの雑音の中に、はっきりとした声が聞こえる・・・
『・・・わたし、 メリー ・・・今、あなたの 後ろにいるの 』
最初のコメントを投稿しよう！