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それからそいつは何かを考えているような、思いつめるような顔をするようになった。だんだん目にくまが出来てきてうるさいあいつじゃなくなった。最初は大丈夫か?なんて聞くだけだったが、3日目でさすがにこいつヤバイなと思い始めそいつをよび出して話した。
「おい、お前どうした。なんか変だぞ?」
何もねーよなんていつものようにいっていたが、今日は話を聞くまでひくつもりはなかった。
俺が無言で話すよう目で訴えていると観念したかのようにため息を吐いてからゆっくりと話し始めた。‥涙を流しながら‥
「俺だって頑張ったんだ、どうしようもないことだってわかってる。けど、何とかしたいって思っちゃうだろ‥だって俺しか知らないんだから!」
なんの話をしているのかわからなかった。でも、いつもふざけているそいつからは想像できない悲痛な声で叫ぶように訴えていた。
「なんの話だ??」
「テレビの画面の話だよ。俺があの話を広めたんだ‥こんなことになるなんて知らなくてあの話には続きがあるんだ。けど、普通は必要ないから言わなかった‥」
俺は戸惑いながらもクラスで話した時のことを思い出した。こいつは何もないかのように話していたのにこんな泣くぐらい何があるっていうのか不安になった。
「あれ‥1ヶ月以内になくなる人は画面に映らないんだ‥まさか本当に映らないって思わなかったんだ!しかも、クラスにこんなに!」
俺の肩を両手で痛いぐらいに掴んでくる。グラグラ揺らしながら話すそいつの顔は疲れ果てて涙でグチャグチャだった。
俺は何も言えなかった‥
「俺もやれることは何でもしたんだよ‥どうしようもないことだとはわかってる。これはお化けとかは全く関係ないんだ。死期がただわかるっていう‥ネットでも調べた、陰陽師とか霊媒師とかにも話したけど、これはどうにも出来ないって‥」
こいつはこんなにも重いものを一人で背負っていたのか‥
「でも‥ならなんでまだ、だれも‥」
「わからない!けど、いつかいつかと思っているうちにどうにかならないのかって眠れない!!‥
なぁ‥死期が分かればいいななんてふざけて調べてみんなに教えて‥
人のなんて知りたくないもんだよな」
そう言ってそいつは俺の肩から手を離してどこかへ行ってしまった。
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