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「あらぁ~!何どうしたの?今日休んでいいって言ったのに・・」
びっくりしたヒロとしのぶママのかける声がほぼ同じだったためか、その彼女はママのほうにだけ反応した。
「うん、そうしようと思ったんだけど熱は無いし、雨もあがったから、もしお店混んでたら少しでも手伝おうかな?って思って・・」
どうやら先ほど話に出できた、風邪気味で今日は休みになるはずだったこの店の女の子のようだ。
彼女は肩に付いていた雨を軽く手で払いのけると、着てきたコートを脇にある縦長のラックにかける。
ブルーの可愛らしい向日葵柄のワンピースにその当時流行っていた聖子ちゃんカットが幼く見えるがきちんとメイクをしてるところからすると二十歳くらいだろうか?
しかしその答えはすぐに出た。
「えっ、やだもしかしてヒロ先輩?」
改めてビックリしたようにヒロの顔を見て声をかける。
「お前、圭子か?」
「そうだよ?やだ先輩こんなとこで何してんの?」
「何ってお前・・しのぶママが俺に客連れて来たらボトルサービスするって言うから友達連れて・・」
彼女はヒロがそう言うから思わず俺の方を見る。
しのぶママもその様子にビックリしながらヒロに言う。
「えー何あんた達知り合いだったの?」
その後はもう完全に身内同士の会話になった。
どうせこの後お客は来ないだろうからと、店の看板ライトを落としてみんなで後ろのボックス席に移動すると改めて飲み直しだ。
「へえ、じゃヒロ先輩とジュン先輩は高校時代からの付き合いなんだ?」
俺とヒロの真ん中に座ってニコニコする圭子。
向かい側にはしのぶママとキッチンのユキヒロさんという先ほどの無口な男性が座っていた。
聞けばユキヒロさんはしのぶママの元ダンナのお兄さんらしく、しのぶママが離婚した後にこの店のオープン資金を半分出してくれたそうだ。
一方気になるのはヒロと圭子の関係だった。
何故同じ学校でもない圭子がヒロのことを先輩と呼ぶのか?
それはこうだった。
一年前に圭子は友達とショッピングをしていた。
そこにヒロが声をかける。
つまりはナンパだ。
この時、1対1だったら圭子も警戒したらしいのだが、友達も一緒だったことからお茶くらいなら・・ということでヒロについて行ったらしい。
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