もう一度逢いたい君へ 1話

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25歳の頃・・その頃の俺は と言えば全く大したことのない・・そうこれと言って特に何の取り柄もなく彼女すら出来ずにいるさえなやつだった。 これからお話する物語は、そんなさえないやつの恋愛話である。 ツマラナイと思えば閉じてしまっても良し、ヒマ潰しに読んでみるか?となればそれはそれで幸いである。 さて、今からもう何十年も前のことだ。 当時俺は20歳の頃から真面目に続けていたガソリンスタンドのバイトもふと気がつけばもう5年になっていた。 正社員になることより、毎日がただ何となく過ごせればそれで良かったといった感じだったからそれも仕方がない。 ある日の夕方、その日は生憎の雨降りでスタンドのお客も朝から数える程度しかなく、店内で他のスタッフとくだらない世間話をしながら客待ちをしていた。 するとそこに買ったばかりの新車をどうしても1番に自慢したかったのか、高校の頃からの付き合いだったヒロが客としてやってきた。 「らっしゃい!」 「よっジュン!」 「何だよヒロだったのかよ!前と車違うから分からなかったじゃねーか?」 ニコニコ営業スマイルってやつを作りながらヒロの車に走り寄った俺はやつにそう呟いた。 「何だとは失礼なやつだな、これでもこっちは客だぜ?」 「ハイハイ、ではお客様、レギュラー満タンでよろしかったでしょうか?」 「あ、うん、あ、いやまて、現金10リッターな!」 ヒロは一度財布の中身を確認すると照れくさそうにそう言う。 「あーセコっ!こんないい車にレギュラーたったの10リッターかよ?」 「仕方ねーだろ、いま給料前なんだよ!来週金入ったら満タンにするよっ!」 「へーそう、でも良かったねぇ、出て来たのが俺で・・ ウチのバイトの女の子だったらレギュラー10リッター!なんて大きな声じゃ恥ずかしくて頼めないもんねぇ」 ニヤニヤとからかう俺にヒロは「るっせぇなあ!」といいながら吸い殻の詰まった灰皿をぶっきらぼうに突き出す。 俺はそいつを受けとりながら、黙ったまま給油口を左手であけると給油ノズルをガチャンとセットして勢いよくレギュラーを噴射させる。 メーターを見ながらピタリと10リッターで止めるのは中々コツがいるのだ。 「しっかし、どうでもいいけど今日はヒマそうだな?」 周りを見渡して客が自分しかいないことが分かるとヒロはそう呟く。
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