もう一度逢いたい君へ 1話

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「よし、んじゃ後でまた迎えに来るわ!」 ヒロはそう言うとキュルキュルンとキーを回しブォーンと一度アクセルを吹かしながら「へへっ、いいだろ、今度のはターボだぜ?」などと、再度車の自慢をして勢いよく店を後にした。 (ヒロのやつ車の自慢に来たのか、単に飲みの誘いに来たのか分からんな?) スタンドの営業時間本来夜9時までだったのだが、最後まで残って後片付けして帰るのは2名だけだ。つまり他のスタッフは自分が当番でない日は皆8時にあがることになっていた。 「ありがとうございましたぁ!」 8時をちょいと回った頃、俺は自分が受けもった最後の客に帽子を取って深々とお辞儀して送りだすと、 それと同時にヒロがやって来た。 「よっ、もうあがりだろ?」 「ああ、これから着替えるから中でちょいと待ってろよ!」 店内にヒロを招き入れると俺はロッカーに行く。 「なんだ、お前ら今日飲み行くんだって?」 ロッカー室の向こうでヒロとウチの所長が話をして笑う声が聞こえた。 「今度所長も誘いますからね?そん時はおごって下さいよ!」 常連のヒロは所長に冗談とも本気とも取れる言葉をかけると、ロッカーから出て来た俺に「どうでもいいが、飲みすぎて明日遅刻するなよ?」と 笑った。 1話完…二話へ続く
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