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私の婚約者だという彼は、ツバサと名乗った。
一時間後、父と母だという男女が、先生から私が記憶喪失だという説明を受けたあと、先生と一緒に病室に入ってきた。
「菜乃…。なんとか目を覚ましてくれて良かったわ」
私はどんな反応をすれば良いかわからなかったが、私のお母さんだという女性の手は暖かった。
先生が話した。
「菜乃さん。記憶の件は時間がかかるかもしれませんが、怪我は完治します。命に別条はありません。
全生活史健忘は記憶障害の一種で、これまでの記憶をすべて無くされてる事と思いますが、生活の仕方を忘れたわけではありませんから、どうか絶望しないでください」
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