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面会を終えた菜乃の父親と母親は、病院の玄関を出ながら、こんな会話をしていた。
「あなた、せっかくあの子が意識を取り戻したのよ。記憶を失っているのは、今はどうにもならないけど…とりあえずは元気出しましょ?
それに、例えば、お箸の使い方がわからないとかいうのではないし、日常生活を送るには差し支えないって先生も言ってたでしょう?事実、ボールペンを使えていたわ」
「ツバサの奴だが、俺はどうも受け入れられん」
「父親は皆そうよ」
「そういう意味じゃない」
「? どういう意味なのよ」
「ただのカンだ」
「警察も言っていたでしょう。犯人はセイヤくんだという可能性が高いって。私もショックだけど、警察が言うのだから、間違いないわよ」
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