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私が目を覚ましたときから、ずっと側にいる、この男の人が・・・私の婚約者。
「その左手の薬指を見てごらんよ。その婚約指輪、僕が贈ったんだよ。って覚えてないかな」
婚約者だという彼が、残念そうな口調で言った。
自分の左手を見ると確かに、ダイヤの光る指輪が薬指にはめられている。
でも、全く思い出せない…。
指輪をぼうっと見つめる私に、彼はさらに言う。
「菜乃ちゃんのご両親は、いま病院へ向かっているところだよ。先ほど僕が、意識が戻ったことを電話しておいたから」
私は頷き、紙に文字を書いた。
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