くたばれカルト教団

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 威圧感。  総本山ビルのロビーを抜けてエレベーターで木山という男がいる場所までいく途中、それはジワジワと真北の体を飲み込んでいく。 宮崎を始めとする信者は自分の家のようにスタスタと歩いている。教団の敷地内に長年住んで住み慣れた証拠だ。 七階で止まったエレベーターを出て幾つか部屋を通過すると“教団講堂”と書かれた表札の部屋に辿り着く。 ここでは信者達が集まって教祖の前に跪き、儀式を行ったり、自己啓発に似た説得をしているのだろう。  真北の宗教活動に対する第一印象はまさにそれだったが見事に裏切られた。  講堂の奥に立てられたホワイトボードの前には長机が正方形に並べられており、一人の男が腰を掛けていた。  「失礼します」  「新入りを連れて来たんですね。真北省吾さんでしたか」  敷地の外の情報は教団内にもメディアを介して伝わって来る。故に木山は名前やどうして保護対象にしたのかも知れたわけだが。保護対象として扱う為に教団敷地内に避難させたのもこの男だ。  「あんたが教祖か?」  「木山文博です」  人権保護の会の信者は元より真北のような人間の相手は慣れている。紳士的な口ぶりで木山はそう言うと真北に握手を求めて右手を差し出した。
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