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ドアの向こうも、殺風景な部屋だった。
でも向こうの部屋には、かろうじて家具がある。
小さなダイニングテーブルと一対の椅子。
でもその場所にも、人の気配はなかった。
「……」
私は無意識のうちに毛布を前でかき合せながら、首を左右へ振って部屋の中を確かめた。
左手にはベランダへ繋がる掃き出し窓。
右手にはキッチンがあって、その向こうに廊下が続いている。
照明がすべて落とされているせいか、廊下の向こうは薄闇に沈んでいた。
恐る恐るキッチンに足を踏み入れて廊下の気配を探ってみるが、やはり人の気配はない。
暗がりの突き当りには私の靴がちょこんと揃えて置いてあるだけで、他に物らしきものは何ひとつとしてなかった。
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