0人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねぇ、本当に行っちゃうの?」
卒業式典が終わり緊張感から解放された生徒たちが教室で写真を撮ったり、アルバムを書き合う中、ふと彼女の声が耳に届く
「あなたが初めて話しかけてきてくれた時、私ね、本当に嬉しかったの。ずっとずっと、ひとりぼっちだったから」
そう、俺があの日誰もいない夕日に染まった教室で見た彼女はトクベツだった
「なんで私、あんなこと・・・」
震える声
「一緒に、俺と一緒にここを出よう!」
その刹那、最高の笑顔を残して光の粒とともに彼女は消えていく。それに逆らうように手を伸ばしたが、俺の手は虚しくも空を切った
こうなる事は最初から分かっていた
分かって声をかけたんだ
だって、彼女はあんなに寂しくて悲しい顔をしていたから
「おい、お前なに一人で泣いてんだよー!こっち来て写真撮ろーぜー」
「何でもねーよ!今行く!」
彼女が一番好きだと言ってくれた笑顔で俺は今日も生きていく
最初のコメントを投稿しよう!